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ハリー王子「暴露本」でポストエリザベスの「役者」たちの力が試される

大役者を国葬で見送った日英両国、政治という「大芝居」の行方を読み解く

逢坂 巌 駒澤大学 法学部准教授

メディアと世論の業火に焼かれた第一次政権

 一方、戴冠式の翌年に生まれた安倍氏も電気メディアとの付き合いは長い。確認できる最初の出演は2歳8ヶ月、NHKのラジオ番組(「我が家の茶の間 総理大臣岸さんの茶の間を訪ねて」)での祖父岸信介との共演である。

安倍氏の最初のラジオ出演?(読売新聞1957年5月16日拡大安倍晋三氏の最初のラジオ出演? を伝える読売新聞(1957年5月16日付)
 政治家となっても、安倍氏は拉致問題をきっかけにテレビに露出して出世していった。2002年の秋、小泉純一郎首相の北朝鮮訪問によって帰国した拉致被害者の扱いをめぐり、先方との約束通りに一旦戻すことを主張する福田康夫官房長官に、官房副長官だった安倍氏は日本にとどめるべきだとして対立した。

 その際、安倍氏は「指をくわえていれば、こっちが(福田に政治家として)殺されるから、そうならないために意図的に何事も強く出た」(野上忠興(2006)『ドキュメント安倍晋三』)と拉致問題をメディアに積極的に露出させて世論に訴えた。その作戦は成功し、世論は安倍氏を支持した。拉致被害者は日本にとどまることになり、安倍氏も人気が上昇し広く国民に知られるようになった。

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筆者

逢坂 巌

逢坂 巌(おうさか・いわお) 駒澤大学 法学部准教授

東京大学法学部卒。同大学院法学政治学研究科修了後、同博士課程中退。同大学助手、立教大学社会学部助教などを経て現職。専門は現代日本政治、政治コミュニケーション。著書に『日本政治とメディア』(中公新書、2014年)『「戦後保守」は終わったのか』(KADOKAWA、2015年、共著)『政治学』(東京大学出版会、2022年、共著)『テレビ政治』(朝日選書、2006年、共著)など。現在はアイルランドに滞在、University College Dublin, Ireland Visiting Professor。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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