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ドイツがウクライナへの戦車供与をためらった背景を探る

ロシアとウクライナの戦力バランスを変えるレオパルト2

花田吉隆 元防衛大学校教授

 1月24日、ようやくのことでドイツが世界に誇る最強戦車レオパルト2の対ウクライナ供与が決まった。またしても、逡巡に逡巡を重ねたあげく、欧州各国から圧力を受けた末の決断、ショルツ首相が見せるいつもの光景だ。

ドイツのショルツ首相=2022年11月16日、インドネシア・バリ島

 これまでも同じだった。初めは、欧州各国が対ウクライナ武器支援に乗り出す中での5000個のヘルメット供与。自国の近隣でウクライナがロシア軍侵攻の脅威にさらされているというのに、ドイツはヘルメットをプレゼントするだけか、と非難が集中した。

 ドイツにはドイツの言い分があった。第2次世界大戦の反省を踏まえ、紛争地への武器供与はしない。三国を経由しての供与も認めない。確かに今まではそれでよかったかもしれないが、今やロシアが国際秩序を無視しウクライナを蹂躙しようとしている。原理原則に固執している場合ではない。

 その後、昨年2月24日のロシアの侵攻を受け、ショルツ首相は断固たる姿勢を示した。2月27日の連邦議会における国防費を大幅に引き上げる旨の演説は、ドイツの安全保障政策の歴史的転換と高く評価された。

重火器の限界と戦車の破壊力

 ここまでは良かった。ところが、

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