都道府県議会の2~4人区化をもたらした公選法15条8項ただし書の“裏技”
「政党」としての公明党~一学究の徒の政治学研究【22】
岡野裕元 一般財団法人行政管理研究センター研究員
不透明なインナーでの議論の過程
ただ、仮にプロセスを公開するとしても、政党地方組織内や会派内における条例案の事前審査の過程が分からないという問題は残る。組織内や会派内といったインナーでは、より活発な議論を行っていると思われるだけに、こうしたブラックボックスの存在は望ましくない。
実際、熊本県の潮谷義子知事時代(2000年~2008年)に参与観察した中條美和は、次のように指摘する(中條美和『知事が政治家になるとき』木鐸社、2017年、p.44)。
例えば、熊本県の場合、県議会開会の1週間前には、知事を含め執行部は議会最大会派(たいていは自民党県議団)のみ県議会棟の全員協議会室において政策審議会(政審会)と言われる知事提出条例案の説明会をおこなう。この政審会は非公開であり、記者たちも入れないが、記者たちが廊下で聞こえたという話によれば、この政審会において県議たちは忌憚のない意見を述べ執行部と議論しているようである。他会派の議員に対しては、課長以下の職員が個々の議員室で説明する。
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