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政党機関紙の機能としての候補者予備群育成、人材供給

「政党」としての公明党~一学究の徒の政治学【最終回】

岡野裕元 一般財団法人行政管理研究センター研究員

 「論座」では「『政党』としての公明党~一学究の徒の政治学研究」を連載してきました。1999年に自民党と連立を組んで以来、民主党政権の期間をのぞいてずっと与党だったこの党はどういう政党なのかを、実証的に研究する試みでしたが、「論座」のクローズにともない第26回の今回をもって連載を終了します。長い間ご愛読いただき、ありがとうございました。連載の過去の配信回はこちらからお読みいただけます。(論座編集部)

 論座での連載最終回となる本稿は、前回「政党機関紙の「大衆性」と「機関紙性」 公明党機関紙委員長に聞く」(2023年4月14日付)に引き続き、政党機関紙が果たす党内文化醸成の役割をテーマに、吉本正史・公明党機関紙委員長にインタビューをおこなっている(2023年2月17日取材)。

活字離れでも損益はプラス

公明新聞は、税込み1カ月で、日刊1887円、日曜版293円となっており、発行頻度の割に安く価格設定ができているように思える。なぜ可能なのか、吉本委員長に聞いた。

 「たしかに購読料は安いのですが、他の日刊紙を調べると、朝日、毎日、読売にしても、月額料金や1部当たりの料金でもいいんですけれども、8ページしかない公明新聞はページ数を考えれば決して安くはないと思います。ページ数を増やせばいいかもしれませんが、人が必要になります。現体制でページ数を増やすと、記事の内容が薄くなる可能性もあります。それに人数が変わらないまま電子版を作っていますので、結構苦労しています」
――日刊紙、日曜版は、それぞれ黒字か。
 「活字離れとか、スマホ普及で部数が減っているのは事実ですが、損益分岐点は超えています。日刊を維持するために、日曜版の利益で補填するようなこともありません」
――紙面印刷と配達は、すべて委託契約している認識で正しいか。
 「全部委託です。最初から自前の印刷所を持っていません。今、四十数か所に委託していますけれども、全国紙や県紙が経営しているところや、そこの印刷部門で印刷して頂いております。配達は、創刊のときから、聖教新聞社と契約して戸配をして頂いています。
 自前で印刷所を持つには、非常に高価な新聞用輪転機が必要になります。新聞印刷は、ものすごくデリケートであり、輪転機のメンテナンスも難しく、自前で持つのは大変なんですよ」

吉本正史・公明党機関紙委員長=2023年2月17日、東京都新宿区南元町、公明新聞・千葉正人撮影インタビューに答える吉本正史・公明党機関紙委員長=2023年2月17日、東京都新宿区南元町、公明新聞・千葉正人氏撮影

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