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劣化が進む首相官邸!?~「政治主導」は後退していないか

論座終了にあたり日本政治の望ましき展開を妨げている事由を論ず【3】

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

大転換機の政治に求められるもの

 グローバル化、AIの進展、中国の台頭、地球温暖化をはじめとする地球規模の変動……。世界は目下、大きな転換期にある。それは、私が政治家として経験した冷戦の終焉時よりもさらに大きな転換だろう。

 こうした変化に対応するため、日本の政治も変わらなければならない。官僚主導ではなく、国民の支持に支えられた第一級の政治家による政治主導の実現は不可欠である。

 真の政治主導のためには、オーストラリアのように、官邸内に民間の見識を数多く結集し、官僚を指導する体制をつくらなければならないだろう。その際、首相や官房長官には格別高い見識や力量が求められるのは論を待たない。なかでも私が最も強く求めたいのは、歴史観に裏打ちされた政治思想と、先を見通す構想力である。

 そんな「時務を果たす」人材が、世襲の岩盤を打ち砕いて輩出する日も遠くないと信じたい。(連載終わり)

拡大国会議事堂=2021年9月10日、東京都千代田区、朝日新聞社ヘリから


筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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