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科学国家と福祉国家

広井良典

広井良典 京都大学こころの未来研究センター教授(公共政策・科学哲学)

アメリカは世界最大の医学・生命科学研究機関といえるNIH(National Institutes of Health、国立保健研究所)などを中心に巨大な生命科学研究支援を展開し、文字通り世界の医学研究をリードする存在になっていったが、公的医療保険制度は、先般のオバマ医療改革をへてなお、きわめて限定された範囲にとどまっている。アメリカが「福祉国家」より「科学国家」の理念と政策をはるかに重視してきたゆえんである(オバマ改革はその若干の変容の兆しとも理解できようが)。
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