小林傳司(こばやし・ただし) 小林傳司(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授)
【退任】大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授。専門は科学哲学、科学技術社会論。市民参加型テクノロジーアセスメントである「コンセンサス会議」を日本に紹介して実施した。2001年、科学技術社会論学会の設立に参加した。09年、地球温暖化をめぐる世界市民会議World Wide Viewsの日本代表を務める。※2012年3月末退任
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
小林傳司
周知のとおり、科学技術基本計画は1995年施行の科学技術基本法にもとづき、今後10年程度を見通した5年間の科学技術政策の計画だ。現在が第3期の最終年度である。
ところで、政策とは何か。政府の政策の場合、あらっぽく言えば、どんな事柄に、どの程度の税金を使うかを決めることであろう。では、「事柄」とそのための「予算」を「どうやって」決めるのか。予算を支出すべき項目(事柄)の決め方と、予算の額の決め方が問題となろう。ここで、「誰が」決めるかは一応脇に置いておこう。科学技術政策の場合の立案プロセスとしては、各種審議会の検討を官僚が取りまとめつつ総合科学技術会議で答申を出し、それを受けて内閣が予算案をつくり、最終的に国会で決定する。だから、形式的には国会が決めると言ってよい。問題はプロセスである。
煎じつめれば、「どうやって」決めるかという問題は、誰の声を聞いて決めるかの問題である。今回の第4期案はこの点で興味深い問題を提起している。
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