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純粋科学は擁護できるか

小林傳司

小林傳司 小林傳司(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授)

理学部の学生だったころ、友人とこんな議論をしたことがある。科学とは世のため、人のために役に立つのであろうか。工学や医学だと社会的、経済的効用ははっきりとしているように見えるが、科学はそれを語りにくい、といった話である。このとき、われわれの頭にあったのは、とりわけ社会の役に立ちそうにない科学、たとえば、動物行動学や素粒子論のようなものであった。あーでもない、こーでもない、と議論したあげく、友人は「科学はエンターテインメントだ」と言い切った。
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