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原発の安全妄想、日本のさまざまな「甘い想定」

竹内敬二

竹内敬二 元朝日新聞編集委員 エネルギー戦略研究所シニアフェロー

 原子炉は危険な状態で一進一退を繰り返し、放射能の放出は止まらない。農業、漁業への影響は計り知れず、避難者は厳しい環境の中で先のみえない生活を続けている。これらを招いたのは、原発に対する「甘い想定」だったともいえる。あたかも「自分が解くことのできる問題を自分でつくって解く」ような作業だった。それを繰り返すうちに、社会全体が事故の本当の脅威を想像する力を失っていたのはないか。

  ◆全電源喪失はない

 福島第一原発の直下の揺れは約500ガルだった。これは「想定内」だった。原子炉は自動停止したが、周囲の地域が停電して「外部電源喪失」になってしまった。

 原発は巨大な発電所だが、停止中に外部電源が止まれば困った状況になる。核分裂が停止したあとも強い熱を発し続ける燃料の冷却が止まるからだ。外部電源喪失は大事故への第一歩だ。

 しかし、

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筆者

竹内敬二

竹内敬二(たけうち・けいじ) 元朝日新聞編集委員 エネルギー戦略研究所シニアフェロー

元朝日新聞編集委員。現職は京都大学特任教授(経済学研究科)とエネルギー戦略研究所(株)シニアフェロー。朝日新聞で科学部記者、ロンドン特派員、論説委員、編集委員を務め、環境、原子力、自然エネルギーなどを担当した。温暖化の国際交渉、チェルノブイリ原発事故の疎開者の生活、福島原発事故を取材してきた。著書は「地球温暖化の政治学」「電力の社会史 何が東京電力を生んだのか」(いずれも朝日選書)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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