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ホームネットワークを加速するDLNA

鎌田富久

鎌田富久 鎌田富久(株式会社ACCESS創業者)

 家庭の中でデジタルコンテンツを「好きな時に好きな所で」利用する環境が着々と整いつつある。家庭に高速ブロードバンドネットワークが届き、家庭内では無線ネットワーク(WiFi)でテレビやパソコン、スマートフォンやタブレットがネットワークにつながるようになった。情報家電機器の相互接続を実現する基礎技術の仕様は、DLNA(Digital Living Network Alliance)という業界団体がDLNAガイドラインとして策定している。主要な関連企業245社が参加し、マイクロソフトも Windows 7 でDLNAをサポートしている。テレビ、セットトップボックス(テレビ用信号変換装置)、ハードディスクレコーダ、デジタルカメラなど、DLNA対応機器が増えている。

拡大図1. DLNA対応機器で、広くコンテンツの共有が可能になる

 デジカメの写真をボタン1つでテレビに表示したり、映画ビデオをテレビ画面からタブレットに画面を切り替えたり、とそんなデジタルリビングのシーンが、現実のものとなりつつある。今後さらに、キッチン端末や、フォトフレーム、ホームパネルなどホームネットワークに接続する端末は、増えていくであろう。

デバイス間でコンテンツを共有

 さまざまな機器がネットワークにつながると、写真やビデオや音楽などのデジタルコンテンツを、それらの複数の機器で共有したいという要求が出てくる。これができないと、購入したコンテンツは、1台の機器でしか再生できない。また、デジタルカメラで撮影した写真を、デジカメからSDカードを引き抜いて、パソコンやテレビに差して写真を見るような面倒な手間はかけたくない。

拡大図2. スマートフォンをコントローラとして利用することもできる

 コンテンツをホームネットワークで共有するには、コンテンツが保存されている機器がサーバとなり、コンテンツを表示する機器がプレーヤとなる。家庭内に複数サーバがあってもよいし、1つの機器がプレーヤであり、サーバでもあるケースもありうる。さらに、コントローラになる機器も複数ありえる。

 簡単な利用シーンをあげてみる。図2は、スマートフォンをリモートコントローラとして使うようなケースである。ホームネットワークに接続する複数のサーバ(ハードディスクレコーダ)と複数のプレーヤ(テレビなどの再生機器)から、サーバとプレーヤを選択し、再生したいコンテンツを選択する。リモコン1つで、家庭内のすべての機器をコントロールできる感じだ。最近の Android スマートフォンであれば、DLNAソフトをAndroid Market からダウンロードして使うことも可能である(例:NetFront Life Connect)。

拡大図3. 家庭内でコンテンツのアクセス制御が可能になる

 図3は、少し高度な利用シーンで、端末によって表示するコンテンツを制限するようなことも可能である。家庭内で複数のテレビを持つのは一般的なので、サーバ(図ではスマートメディアマネージャとなっている)に保存されているコンテンツを複数の表示機器で表示する要求は強い。この際に、子供向けにはコンテンツを制限するといったアクセス制限を設定できるわけだ。

家庭とモバイル環境がシームレスに接続

 また、DLNAによって、近い将来、家庭内の機器と外部の機器も連携できるようになる。例えば、家庭内のハードディスクレコーダに保存されたデータ(ビデオ、写真、音楽)を、スマートフォンやタブレットで、家庭の外から楽しむこともできるようになるだろう。

 ネット接続する端末とサービスの初期段階は、垂直統合型の端末とサービスが1:1にひもづいた形が多いが、この場合には、コンテンツは端末から移動できない。ネット化が進んでくると、マルチデバイスの対応が必要になってきて、端末とサービスを切り離し、徐々に水平分業型になっていくであろう。この方向をドライブするのがDLNAである。DLNA規格と競合するような標準規格は今のところなく、アップル社以外の大手ベンダの足並みはほぼそろっている。

 一方、アップル社は、自社製品同士で独自に機器連携を推進している強力な垂直統合型の戦略である。しかし、Mac向けやiPhone向けの DLNAソフトもサードパーティから出てきており、オープンにすべての機器をつなげるニーズの強さがうかがえる。今後のキーポイントは、使い勝手の向上であろう。一般のユーザが簡単に使えることが、ユースケースの広がりにもつながる。マルチメディアホームネットワークは、まだ始まったばかりだが、さまざまな組み合わせの連携が出現し、今後ますます発展していくであろう。

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筆者

鎌田富久

鎌田富久(かまだ・とみひさ) 鎌田富久(株式会社ACCESS創業者)

【退任】株式会社ACCESS創業者(元代表取締役社長兼CEO)。東京大学理学部在学中の1984年にアクセス(現・ACCESS)の設立に参画。

世界初の携帯電話向けブラウザ開発を牽引し、年間1億台を超える機器にソフトウェアを提供する企業に育て上げた。ネットワークは、21世紀の情報格差を解消し、豊かな地球生活を実現するキーになると説く。理学博士。※2012年3月末退任

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