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【科学朝日】インターロイキン6の発見と免疫疾患(collaborate with 朝日ニュースター、4月28日放送)

朝日ニュースター

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 朝日グループのジャーナリズムTV「朝日ニュースター」は、通信衛星などを利用して24時間放送しているテレビチャンネルで、ケーブルテレビ局やスカパー!などを通じて有料視聴することができます。4月から始まった新番組「科学朝日」は、高橋真理子・朝日新聞編集委員がレギュラー出演する科学トーク番組です。WEBRONZAでは、番組内容をスペシャル記事としてテキスト化してお届けします。

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高橋:こんばんは。科学の最先端にひたる『科学朝日』。朝日新聞のWEB言論空間、「WEBRONZA(ウェブロンザ)」と連動してお送りします。

 今回のテーマは、「インターロイキン(IL)-6の発見と免疫疾患」です。インターロイキン6という言葉、聞いたことがないという方も多いのではないかと思います。これは、私たちの体の中でさまざまな働きをしている重要な物質です。一方で、これが多すぎるといろいろな病気を引き起こします。たとえば「関節リウマチ」です。

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 今、インターロイキン6の働きをブロックして、関節リウマチの進行を食い止める薬が患者さんに使われ始めています。本日は、このインターロイキン6を発見し、その多様な機能と複雑な情報伝達回路を解明しました、大阪大学教授の岸本忠三(きしもと・ただみつ)さんにお越しいただきました。岸本先生、よろしくお願い致します。

岸本:よろしくお願い致します。

高橋:まずは、このたびの日本国際賞のご受賞、おめでとうございます。

岸本:どうもありがとうございます。我々の40有余年にわたる私のライフワーク、IL-6の研究が認められて、こういう賞を頂けたということを大変うれしく思っております。

高橋:IL-6がインターロイキン6ですね?

岸本:ええ。

高橋:長年一緒に研究されてきた平野俊夫大阪大学教授と共同のご受賞ということになりました。

岸本:はい。その40年ほどのあいだには、数え切れないほど多くの共同研究者と共同研究をしてきましたけれども、その代表としての平野俊夫博士と一緒に頂けたということは大変うれしく思います。

 発表の記者会見のときにも言ったんですけれども、医学の研究というのは、なんの役に立つかというふうなことを考えなくても、神髄をついた研究は必ずヒトの病気の診断や治療に役立つものであると。そういうことのひとつの例として、この研究が認められたということが大変うれしく思っています。

高橋:そうなんですね。日本国際賞は、患者さんを救う業績を上げられたということを大変高く評価した。

岸本:ああそう。先ほど言われたように、関節リウマチをはじめとして、免疫難病の治療につながってきたということが評価されたんだと思ってるんです。

高橋:そうですね。で、この4月に授章式が予定されていたんですが、これは中止になりましたね。

岸本:それはまあ、今回のこのような大震災を思うと、それは当然のことだと思いますけれども、1日も早い復興ということを願って、我々も賞金の一部はそういう義援金として寄付させていただきたいというふうに考えています。

高橋:これだけの大きな災害ですと中止もやむを得ないと思いますけれども、ただ一方で、被災地の外にいる私たちは、なるべく普段の生活をして活力を下げないようにすることも大事なことだと思います。今日は詳しく、その受賞対象となったご研究について、うかがっていきたいと思います。それでは、改めて本日のゲスト、大阪大学教授の岸本忠三さん、よろしくお願い致します。

岸本:お願い致します。

高橋:それでは、インターロイキン6、IL-6についてお伺いしていきたいと思います。

 先生は、この分子の存在を70年代の初めに発見されて、1986年に遺伝子の配列を世界で初めて、いちばん最初に解明されたということなんですが、なぜこの物質に興味をもたれたんでしょうか。

岸本:インフルエンザなどの感染症から体を守る免疫の働きというのは、血液の中を流れている白血球によって仲介されているわけですね。その白血球の中にもいろいろな種類の細胞があるわけです。

 白血球というものは英語で「ロイコサイト(leukocyte)」といいますから、そのロイコサイトのあいだをつなぐ、情報を伝達し合う分子という意味で、「インターロイキン(interleukin)」という名前がついているわけなんですけれども、それで免疫のいちばん中心的役割を果たすのは、最初のここ。

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高橋:はい。白血球ですね。

岸本:Tリンパ球とBリンパ球という、2つのリンパ球がいちばん主役をなしているわけですね。

高橋:どっちも白血球なんですね?

岸本:白血球のなかの、いわゆる2つですね。

 で、抗体を作って、たとえば、インフルエンザのウイルスをやっつけるとかいう働きをするのは、Bリンパ球なんです。だけど、Bリンパ球だけでは抗体を作れなくて、Tリンパ球の存在が必要なんです。それは1968年の発見なんですけれども、そうすると、Tリンパ球は何か、Bリンパ球に抗体を作れと指令している分子が出ているに違いないというふうに、我々は、僕は考えたわけです。

高橋:はい。

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岸本:抗体作るということは生命にとって必須のことです。抗体がなければ、人間は1日として生きていくことはできないと。そういう抗体を作らせる分子を見つけるということは、たぶん、非常に重要なことだろうと。医学の、生命化学の分野で。そして、そういう分子を見つけて、どうして抗体ができてくるかという機構を明らかにするということは、生命科学・医学の研究で重要だろう。だからそういうことをやろうと。

 実際にそういう分子が出ているかということを研究したわけですけれども。で、1973年にそういう分子が存在するということを発見して、それを論文で出したというのが、その今、最初のステップです。

高橋:最初なんですね。それは……。

岸本:それが、今、現在ではIL-6、インターロイキン6と呼ばれている分子なんです。

高橋:それは、たとえばその、T細胞とB細胞を一緒に…。

岸本:B細胞をだけを、まず試験管の中で培養しますね。そうすると抗体はできないと。Tリンパ球だけを。T細胞だけを培養しておいて、刺激して、その培養の上澄み液をここへ加えたら、そしたらこれが抗体を作りだすと。

高橋:ああ。すると、上済みの中に何か入ってると。

岸本:そう、上澄みの中に何かが入っているということを見つけた。それが先ほど言われたように、86年に、その分子がこれですよというのを明らかにしたということになるんですね。で、そういう分子が明らかに、構造が明らかになってみると、その次は出ますかね。

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 そうすると、我々はBリンパ球に働いて抗体を作らせるということで追いかけてきたんですけども、それまでにも世界中で、いろいろな機能をもつ分子が追いかけられていたわけなんです。たとえば、我々が肺炎を起こしたり、結核になったり、やけどをしたりすると、よく知られているのは、血沈が増えるとかそういうことがありますよね。

高橋:はい。

岸本:そういうことは、何かその場所からそういう何かが出て、肝臓の細胞に働いて血沈を増やす、上げるような物質が出てるというようなことを。それは何だろうかというのは研究されてたわけです。それは、それがそういう、もしや大事な分子だというのはもう、2000年前にヒポクラテスは、「病気とは血のにごりである」と言うてるわけですね。

高橋:おお。

岸本:血のにごりというのは、血沈とかCRP(C-reactive protein:C反応性蛋白)とか、アミロイドタンパクとかありますけど、そういう「急性期タンパク」と呼ばれる分子が出ることだと。その分子を出さすのも分子が何かあるというので、みんな研究してたわけ、80年代まで。

高橋:ああ、はい。

岸本:それも、この分子そのものだということが分かってきて、この分子は病気と非常に強い関係があるぞということが分かってくる。

 それ以外にも、ここに書かれているようにいろいろな、骨を解かすことにかかわるとか、抗体産生細胞がガンになった細胞に働いてそれを増やすとか、腎臓の細胞に働くとか、いろいろな多種多様な働きがあって、病気と密接につながっているということが分かってきて、一気にこの分子の世界は広がるわけですね。

 現在では、コンピューターなどで調べてみたら、6万以上のIL-6に関する論文が、世界中で出されてる。ということは、そういうふうないろいろな分野で研究されてきたわけです。

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