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【科学朝日】インターロイキン6の発見と免疫疾患(collaborate with 朝日ニュースター、4月28日放送)

朝日ニュースター

高橋:その作用する先は非常に多様なんですけれども、出しているのはT細胞なんですか?

岸本:いや、そうとは限らない。

高橋:限らないんですか?

岸本:T細胞も出す、マクロファージも出す、皮膚では皮膚の細胞も出す。関節では、後から出てきますけど、関節を覆っている滑膜からも出す。あらゆる細胞から出るし。

高橋:あらゆる細胞に作用を。

岸本:あるゆる細胞から出てあらゆる細胞に作用するという。最初がその、インターロイキンと白血球のあいだをつなぐというふうに使ってきたんですけれども、そうでなかった。あらゆる細胞から出て、あらゆる細胞に働く、体中の。

高橋:じゃあ、ちょっと名前を変えないといけないじゃないですか。

岸本:(笑い)そう。だから昔は、特異的なものというのが大事やけど、現在ではそういう幅広いものが大事やというふうに。

高橋:そうすると、最初の働きは、抗体を出す司令塔という位置付けですよね。

岸本:なってる。それを、我々がそれで追いかけてきたわけですけどね。

高橋:わけですよね。そうすると、抗体っていうのはヒトの体に入ってくる悪い抗原をやっつける成分ですから、いいもんであると。

岸本:いいもんだ。

高橋:ね。IL-6は正義の味方であると。

岸本:そうそう。

高橋:そう思いますよね。ところが、いろいろ作用が分かってくると、なんか、そうでもないっていう。

岸本:悪い方の働きの方が、非常に強く出てますね。

高橋:そっちの方が多いんですか。

岸本:IL-6という分子を作る遺伝子をなくしたネズミをつくりますね。IL-6のないネズミを。そうすると、ネズミがピンピンしてるんですよ。なんにも起こらない。他のものでたぶん代用されるんでしょうね。しかし、IL-6が大量に出るようにしたら、いろいろな病気になってくるわけです。だから、悪い方の働きの方が見えるんですよね。

 免疫という働きは、疫、つまり病気を免れるんです。いちばん最初に言いましたように、インフルエンザから体を守る。ワクチンを注射することによって、感染、そういうことが起こらないようになるというような、それがなかったら生きていけないという。

高橋:はい。

岸本:しかしながら一方では、それがあるから花粉症にもなりますよね。それは「IgE」という抗体で、これは僕の先生であった、石坂公成先生の見つけられたものですけれども。

 ですから、後からお話しする関節リウマチもそうですよね。いろいろな「免疫難病」と呼ばれる、たくさん難病の、何十種類もある難病のうちの多くは、その免疫が異常になることによって起こるんですよね。だから、守る働きと病気を起こす働きとは、もろ刃の剣。だからIL-6もそういうことで、抗体を作らせることに関与するといういい働きと、いろいろな病気を起こすという働きと、両方の働きがあるということですよね。

高橋:でも、そのIL-6が作れないネズミ、ピンピンしてるっていうのは不思議ですね。

岸本:たぶん他のもので代用するんでしょうね。しかしやっぱり、後から出てくると思いますけど、IL-6の働きを抑えて、関節リウマチや血管炎や、いろいろな病気を治すという治療をすると、やっぱり感染症にかかりやすくなりますよね。

高橋:やっぱりそうなんですか。

岸本:ヘルペスが出てきたり肺炎になったり、というふうな副作用も気を付けなければならないという。

高橋:やっぱり両方ある。

岸本:それは当然のことで、いちばん最初に抗体を作らせる分子として見つかってきたわけですから。

 そしたら、他のものでも代用できるなら、なんのためにこれが後々まで残ってきたか。いちばんの理由は、「これは病気ですよ」と警告するためにあるんではないかと。

 たとえばインフルエンザに感染するとしますよね。そうすると最初、熱が、ものすごく高い熱が出て、体がしんどくなって、鼻水が出て、白血球が増えてとか。そういうことは全部、このIL-6が最初にバーッと出てきて起こすんですね。それからその後で、そういう体の、熱が出たりとかいうことが、刺激。IL-6も刺激になって、抗体が4~5日したらできてくると。そしてウイルスは殺されるというふうになってる。しかし最初の、もし警告がなかったとしたら、病気になったということも分かりませんよね。

高橋:ああ、そうですね。

岸本:だから、警告のためにも大事な分子だということだと、僕は思うんですけどね。

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