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意見分かれた改正移植法に検証は不可欠

米本昌平

米本昌平 東京大学教養学部客員教授(科学史・科学論)

日本の脳死・臓器移植は、脳死臨調(90年~92年)における激論の末、本人の明確な文書による同意を原則にして、きわめて慎重に開始された。今回の臓器移植法改正は、同意原則の根本的な転換であり、これに伴う社会的課題や医療政策上の問題点について、詰めた議論が不可欠であったのだが、国会での審議はほとんどの時間が旧来の賛否の立場をなぞるような形の議論に費やされ、成立してしまった。

 そうである以上、さまざまなケースの移植が実施された現段階で、日本社会の中での臓器移植のあり方を検証する、独立の調査チームを立ち上げるべきであろう。ただでさえ、現在の救急医療は、医療関係者のギリギリの努力に支えられ、機能している面があり、移植に振り向けられる資源はほんらい限られている。そのような中で、家族の承諾による臓器移植がどのような事態をもたらしているのか、その実像を分析しながら、日本社会における現実的な臓器移植のあり方を探り当てていかなくてはならない。 ・・・ログインして読む
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筆者

米本昌平

米本昌平(よねもと・しょうへい) 東京大学教養学部客員教授(科学史・科学論)

東京大学教養学部客員教授。1946年、愛知県生まれ。京都大学理学部卒業後、三菱化成生命科学研究所室長、科学技術文明研究所長などを経て現職。専門は科学史・科学論。臓器移植からDNA技術、気候変動まで幅広く発言。著書に『地球環境問題とは何か』(岩波新書)、『バイオポリテイクス』(中公新書)など。

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