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あの「緊急建言」はどうなったのか?

湯之上隆

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

4月12日の記事で、日本の原子力を強力に推進してきた重鎮16人が、3月30日に、「福島原発事故についての緊急建言」を行ったことを書いた。この緊急建言は、国民への陳謝から始まっている。これまで日本の原子力をリードしてきたエリートたちがプライドも体裁もかなぐり捨て、率直に反省し、国民に深く陳謝しているのである。名を連ねた16人各自が相当な覚悟をもって緊急建言に臨んでいると推察した。それ程事態は深刻であるとも言えるだろう。

 緊急建言の要旨は、「事態をこれ以上悪化させずに、当面の難局を乗り切り、長期的に危機を増大させないためには、わが国がもつ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的克つ戦略的に取り組むことが必須である。私たちは、国をあげた福島原発事故に対処する強力な体制を緊急に構築することを強く政府に求めるものである」、ということである。

 筆者も全く同感であり、この緊急建言を切っ掛けに、日本の原子力関係者が一致団結するものと思っていた。また、

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