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変幻自在な自然に同調する―子どもたちが山や海や川で学ぶこと

山極寿一

山極寿一 京都大学総長、ゴリラ研究者

 平成23年版の『子ども・若者白書』に載った独立行政法人国立青少年教育振興機構の調査報告によると、平成10年度と21年度を比べて青少年の「ほとんどしたことのない自然体験」の割合が顕著に増えたのは、「川や海で泳いだこと」、「川や海で貝を取ったり魚を釣ったりしたこと」、「チョウやトンボ、バッタなどの昆虫をつかまえたこと」だったそうだ。いずれも2~3倍に増えている。

 これは現代の青少年が、予想のつきにくい自然の動きや、隠れていたり、すばしこく動き回る生物を捕まえることが苦手で、そういった遊びにあまり興味を示さなくなっていることを表しているのだろう。

拡大北海道栗山町の廃校を拠点に開かれた自然体験プログラム。ライフジャケットをつけて川泳ぎをした(本文とは直接関係ありません)=2010年6月、及川綾子撮影

 ゆゆしきことだ。なぜなら、これまで人間は動物の中で最も「同調」を得意とし、その能力を使って自然を理解し利用してきたからである。川の流れや海の波は、頭で考えるとなかなか乗るのが難しい。流れや波に自然に身を任せれば、ゆったりとそのリズムに合わせることができる。逆らってじたばたすれば、大きな水の動きに翻弄されて、したたかに水を飲んで溺れかけることになる。 ・・・ログインして読む
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筆者

山極寿一

山極寿一(やまぎわ・じゅいち) 京都大学総長、ゴリラ研究者

京都大学総長。アフリカの各地でゴリラの野外研究に従事し、その行動や生態から人類に特有な社会特徴の由来を探り、霊長類学者の目で社会事件などについても発言してきた。著書に『家族進化論』(東京大学出版会)、『暴力はどこからきたか』(NHKブック ス)、『ゴリラは語る』(講談社)、『野生のゴリラに再会する』(くもん出版)など。

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