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続・「放射能の恐怖」再考――危険を伝える

内村直之

内村直之 科学ジャーナリスト

 感情に詳しい心理学者の故・戸田正直によれば、恐れは「そこでもし、自分が何もしなければ自分の身に危害が及ぶ」「自分のほうから積極的にその危険を制御できる可能性が極めて少ない」という状況判断のもとに生まれる、進化で身についた内的な「危険信号」なのである。恐れを知らない人間は、過去の多くの危険にはまり込んで絶滅してきただろう。だからこそ、恐れを知る人間は多数いるのである。人間の行動のかなりの部分は、論理的推論の結果ではなく、経験あるいは先天的に身についた直感がきっかけとなる。そういう進化で身についた「技術」を簡単に捨てることはできるはずがない。
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