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火星を見ながら俳句をひねる―赤い惑星の季節感

尾関章 科学ジャーナリスト

 8月5日の小紙夕刊1面をみて、一瞬、不思議な感覚に襲われた。

 火星の「冬から春先にかけて」「初夏のころ」「真夏ごろ」をとらえた3枚の組み写真である。あたかも、冬の裸木に新しい枝が伸び、夏にはそれが生い茂るようにも見える。もちろん、それは火星に繁茂する植物ではない。火星を上空から写した画像で、その地表面に現れた筋模様の冬から夏にかけての移ろいである。

 火星にも当然、季節はある。それを地球から確認することもできた。たとえば、火星の極地方の、二酸化炭素が凍ったドライアイスが主成分だろうと見られている極冠の大きさの変化などは、夏冬があるからこその現象だった。

 だが、今回の筋模様は、それよりははるかに細やかな季節感を映している。 ・・・ログインして読む
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筆者

尾関章

尾関章(おぜき・あきら) 科学ジャーナリスト

1977年、朝日新聞社に入り、ヨーロッパ総局員、科学医療部長、論説副主幹などを務めた。2013年に退職、16年3月まで2年間、北海道大学客員教授。関心領域は基礎科学とその周辺。著書に『科学をいまどう語るか――啓蒙から批評へ』(岩波現代全書)、『量子論の宿題は解けるか』(講談社ブルーバックス)、共著に『量子の新時代』(朝日新書)。1週1冊のブログ「本読みby chance」を開設中。

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