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火星を見ながら俳句をひねる―赤い惑星の季節感

尾関章 科学ジャーナリスト

 8月5日の小紙夕刊1面をみて、一瞬、不思議な感覚に襲われた。

 火星の「冬から春先にかけて」「初夏のころ」「真夏ごろ」をとらえた3枚の組み写真である。あたかも、冬の裸木に新しい枝が伸び、夏にはそれが生い茂るようにも見える。もちろん、それは火星に繁茂する植物ではない。火星を上空から写した画像で、その地表面に現れた筋模様の冬から夏にかけての移ろいである。

 火星にも当然、季節はある。それを地球から確認することもできた。たとえば、火星の極地方の、二酸化炭素が凍ったドライアイスが主成分だろうと見られている極冠の大きさの変化などは、夏冬があるからこその現象だった。

 だが、今回の筋模様は、それよりははるかに細やかな季節感を映している。

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