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「節電の夏」に考える環境と医療(上)――病気のエコロジカル・モデル

広井良典

広井良典 京都大学こころの未来研究センター教授(公共政策・科学哲学)

 7月に激しい猛暑日が続き、8月初め頃にいったん暑さがやわらぎかけたと思ったが、再び猛暑が続いている。たまたま私は7月末に、国際協力機構(JICA)の仕事でインドネシアのジャカルタに行っていたのだが、赤道直下のジャカルタの暑さも東京と比べてさほど変わらない(むしろ東京のほうが暑い?)と感じたくらいだった。

 しかし、私にとってはこの夏は一つ嬉しいことがあった。それは、電力節約の関係で、冷房が抑えられるようになったことである。私は東京から千葉にJR総武線で通勤しているのだが、昨年まで、とにかく電車の冷房が寒くて困っていた。必ず「弱冷車」を選んで乗るのだが、それでも寒い。やや冗談めかした言い方になるが、東京から電車に乗って職場(千葉大学)のある西千葉駅に降り立つ時には、弱冷車であっても「冷蔵庫から出る」ような感じがし、普通の車両だと「冷凍庫から出る」ように感じていたものである。そのように電車の中が寒いゆえに、どんなに暑い時でも、夏用のジャケットを持参せざるをえず、それで暑さ・寒さ加減を調整していた。 ・・・ログインして読む
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筆者

広井良典

広井良典(ひろい・よしのり) 京都大学こころの未来研究センター教授(公共政策・科学哲学)

1961年生まれ。84年東京大学教養学部卒業(科学史・科学哲学専攻)。厚生省勤務、千葉大学法政経学部教授を経て現職。この間、マサチューセッツ工科大学客員研究員。社会保障、医療、環境などをめぐる政策研究からケア、死生観などについての哲学的考察まで幅広く発信。『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書)で第9回大佛次郎論壇賞を受賞した。

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