広井良典
2011年08月22日
大きく振り返ると、人間の遺伝子つまり生物学的な特性は、私たちの祖先である現生人類が地球上に登場したおよそ10万年前頃からほとんど変わっていない。言い換えれば、私たちの身体は、当時の環境、つまり比較的ゆっくりした時間の流れの中で、狩猟かせいぜい農耕を営んでいた生活環境にちょうど適した形につくられている。たとえば当時は食糧が慢性的に欠乏しがちだったので、食物の摂取量が多少不足しても血糖値を高く保つような仕組みが人間の身体には備わっている。
ところが現在のような飽食の時代には、そうした人間の身体的特性はかえってマイナスに働き、逆に糖尿病や肥満など様々な病気の原因になっている。
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