湯之上隆
2011年08月24日
・階層社会では、全ての人は(現在の地位において有能ならば)昇進する。
・(いずれは)その人の「無能レベル」に到達する。
・やがて、あらゆる地位は、職責を果たせない無能な人間で占められる。
日立で半導体の技術者だった筆者がこの法則に気付いたのは、課長に昇進したときだった。図1を用いて説明しよう。
ここで、1980年に微細加工グループに新人5人が配属されたとしよう。新人5人は、微細加工技術の開発をそれぞれ担当するとしよう。
10年が経過し、90年になったとする。この10年間で微細化はより進展し、技術的難度が増大している。10年前新人だった5人には、職位に変化が生じている。技術で功績を挙げた者が、課長に昇進している。
課長になると、技術から遠ざかる傾向がある(その方が「偉い」と思われている)。その結果、「無能化」する課長が出現する。なぜなら、技術が得意であり、技術で功績があったから課長になったのであり、マネジメント能力があったわけではないからである。
さらに10年が経過し、2000年になったとする。微細化はさらに進展し、技術的難度はますます増大している。例の5人は、その後どうなったであろうか?
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