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ピーターの法則は政治の世界でも成立する

湯之上隆

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

 「ピーターの法則」をご存じだろうか。1969年に、南カリフォルニア大学のローレンス・J・ピーターが発表した衝撃的かつ笑劇的な社会学の法則である。簡単に要約すると、以下のようになる。

・階層社会では、全ての人は(現在の地位において有能ならば)昇進する。

・(いずれは)その人の「無能レベル」に到達する。

・やがて、あらゆる地位は、職責を果たせない無能な人間で占められる。

 日立で半導体の技術者だった筆者がこの法則に気付いたのは、課長に昇進したときだった。図1を用いて説明しよう。

拡大図1 ピーターの法則―半導体編―
 ご存知のように、半導体は、ムーアの法則に従って3年ごとに4倍の速度で集積度を増大させる。それとともに、3年ごとに70%微細化をし続けている。その結果、微細加工技術の難度は年々高くなる。

 ここで、1980年に微細加工グループに新人5人が配属されたとしよう。新人5人は、微細加工技術の開発をそれぞれ担当するとしよう。

 10年が経過し、90年になったとする。この10年間で微細化はより進展し、技術的難度が増大している。10年前新人だった5人には、職位に変化が生じている。技術で功績を挙げた者が、課長に昇進している。

 課長になると、技術から遠ざかる傾向がある(その方が「偉い」と思われている)。その結果、「無能化」する課長が出現する。なぜなら、技術が得意であり、技術で功績があったから課長になったのであり、マネジメント能力があったわけではないからである。

 さらに10年が経過し、2000年になったとする。微細化はさらに進展し、技術的難度はますます増大している。例の5人は、その後どうなったであろうか? ・・・ログインして読む
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筆者

湯之上隆

湯之上隆(ゆのがみ・たかし) コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

1987年京大修士卒、工学博士。日立などで半導体技術者を16年経験した後、同志社大学で半導体産業の社会科学研究に取り組む。現在は微細加工研究所の所長としてコンサルタント、講演、各種雑誌への寄稿を続ける。著書に『日本半導体敗戦』(光文社)、『電機・半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北-零戦・半導体・テレビ-』(文書新書)。趣味はSCUBA Diving(インストラクター)とヨガ。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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