須藤靖
2011年09月01日
毎年の帰省でこの太平洋に再会するたびに、自然と心が落ち着くはずなのだが、今年は複雑な思いを禁じ得ない。そもそも以前よりこの地域では、南海地震が発生する可能性が指摘されていた。1946年(昭和南海地震)、1854年(安政南海地震)、1707年(宝永地震)、1605年(慶長地震)、1498年(明応地震)をはじめ、過去1000年以上にわたり100年から150年の周期で南海地震が発生している。基本的には、この過去の統計にもとづいて、今後南海地震が発生する確率は30年以内に60%、50年以内に90%程度であると予想されている。また高知県がまとめた被害予想によれば、安政南海地震を再現するような震源モデルを仮定した場合、揺れによって3万、津波によって3万5千、崖崩れによって1万など、火災や液状化まで考慮すると8万から9万もの家屋が全壊するとされる。
しかし、これらのデータをどう解釈し、どう対応すべきかを考え始めると自明ではない。予想される地震の周期が人間の平均寿命と近すぎるためだ。
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