梶田隆章×尾関章
2011年09月09日
《対談》梶田隆章さん(東京大学宇宙線研究所長)/尾関章(朝日新聞編集委員)《資料・撮影協力》大橋正健さん、三代木伸二さん、内山隆さん、宮川治さん(いずれも宇宙線研)=この記事に添えた実験室内の写真は、三代木さん、内山さんが撮影
☆この採録では、当日の対談を極力忠実に再現しましたが、不要な箇所、わかりにくい箇所などを削ったり、正確を期すために一部言葉を補ったりしました。本文に添えた図の一部は、当日用いたものとは別のものになっています。
尾関 なるほど。先ほど重力波をつかむということは、ある意味で人間の基本的な知識といいましょうか、我々が生きている空間というものが揺れ動いたりするんだよ、伸び縮みしたりするんだよ、ということを教えてくれるという意味で一般の我々もすごく本当は関係があるし、我々のいろんなところに意識の問題としてかかわってくるということでしたが、科学としてはどうなんでしょう。実は23歳の男性、愛知県の方が、重力波を検出できたとしたらどんなことが分かったりするのでしょうか、つまり、科学としても多分、この重力波をつかまえたことで、次に何かを、まあ、探ってみようということになるかもしれないんですけれど、そういうことはあり得ますか。
梶田 そうです、先ほどの質問とも関係しているんですけれども、やっぱり例えば本当に連星中性子星が合体する瞬間のような特別な条件で、一般相対性理論とか、その他の中性子星の状態だとか、そういうものについて知識を得ようと思うと、これは重力波じゃないと得られませんし。
尾関 ああ、なるほど。
梶田 さらには、例えば、もっと言えばブラックホール。ブラックホール自身のことを調べるのは、やっぱり重力以外では。まあ周りの状況からブラックホールの周りで何が起こっているかということは調べられるけれども、ブラックホール自体で何が起こっているかというのは、重力波で調べないといけない。
尾関 そういう意味では、重力波を今度つかまえたら、重力波が一つの、これからの天文の、天文学というか、まあ、宇宙物理学の目になるというか、メディアになるというか。
梶田 そうですね。まあ、重力波の皆さんは、宇宙を見る新しい目ではなくてですね、新しい耳だと言いますけれども。
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