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ドイツ脱原発の「なぜ」と「どうのように」

吉田文和

吉田文和 愛知学院大学経済学部教授(環境経済学)

「原子力発電所をやめるべきか」「原子力発電なしでやっていけるか」が、活発に議論されている。しかし「なぜ」(理由)と「どのように」は、密接に結びついているが、一応別の問題である。「どのように」がはっきりしないから、止められないという議論は転倒している。まず、「理由」を徹底的に議論すべきであり、それは倫理的価値判断の問題を含む。この点で、福島の事故をきっかけに、ドイツ首相が「より安全なエネルギー供給に関する倫理委員会」をつくり、「原子力発電を止めるべきか」について徹底的に議論した経験は、日本にとっても参考になる。そこで、ドイツ脱原発の「なぜ」と「どのように」について、詳しく述べてみたい。

 「高度に組織されたハイテク国家日本」(倫理委員会報告書)で起きた福島の事故はドイツに大きな衝撃を与えた。ドイツでは事故後、連日のように、水素爆発の場面がテレビで放映されて、ドイツ環境省と気象庁は、事故の詳細な情報をホームページに掲載し、日本の気象庁が関連情報を出さない中で、ドイツ気象庁による「福島を起点とした風向予測」に対し、日本から多くのアクセスがあった。

 「なぜ」脱原発か?

 2022年までにドイツが原子力発電所を全廃するという方針は、福島第1原子力発電所の地震・津波による事故を直接の契機としているが、1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故をきっかけとしたドイツにおける放射能汚染がもともとの原因である。1998年からの社会民主党と緑の党の連立内閣の時代の2002年に、2022年までに原子力発電所を廃止するという立法がなされていたので、今回は、それに戻る決定である。

筆者(ミランダ・シュラーズ)も参加した17名からなる倫理委員会の報告の要点は、以下のとおりであった。

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筆者

吉田文和

吉田文和(よしだ・ふみかず) 愛知学院大学経済学部教授(環境経済学)

1950年生まれ、兵庫県出身、京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。北海道大学大学院経済学研究科教授を経て2015年から現職。北大名誉教授。専門は、環境経済学、産業技術論、主著『ハイテク汚染』岩波新書、『環境経済学講義』岩波書店、最近は低炭素経済と再生可能エネルギーの普及に関心を持つ。札幌郊外の野幌原始林の近くに住み、自然観察と散歩を趣味とする。

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