メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ノーベル賞のプレスリリースを書いてみよう

北野宏明

北野宏明 ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長

 ノーベル賞発表の季節になると誰が受賞するのかの下馬評がメディアで喧伝される。この原稿も、もともとは「今年のノーベル賞の予想を」という編集部のリクエストから始まった。いくつかあり得る候補や理由などを挙げたりもしてみた。最初は、結構おもしろがって考えていたのだが、やっているうちに、どうも競馬の予想屋みたいでバカらしくなってきた。

 いずれノーベル賞をとる可能性のある発見と、それに大きな貢献をした研究者をリストアップすることはできるが、「今年」の受賞がだれになるかを予測するのはインサイダー情報でもない限り不可能だし、当てたところでそれが偶然その年のテーマ領域と一致したという以上のものではない。飲み屋の話題としては面白いが、WEBRONZAがクオリティーメディアをめざすなら、わざわざとり上げる話題でもないであろう。まして、単に名前を列挙して数行のコメントを書いたぐらいでは意味がない。

 しかし、これも一つのお祭りとして考えると、意外と役に立つ活用法がある。それは、「ノーベル賞選考委員会ごっこ」である。

・・・ログインして読む
(残り:約1351文字/本文:約1803文字)