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【物理学賞】ノーベル賞、ホーキングに近づく

尾関章 科学ジャーナリスト

 「宇宙」が多くなったなあ。これが、今年のノーベル物理学賞が発表されたときに最初に感じたことだった。私自身の心のなかには、別分野の「超有望」候補が二つほどあった。宇宙・天文でも、今回選ばれた「宇宙の加速膨張」を含め数件が頭に浮かんだが、分野の順番として早すぎると思ったのだ。WEBRONZAレギュラー筆者の須藤靖さんが、宇宙・天文に絞った予想論考を寄稿してくれたときも、数年先までの時間幅を想定しての見立てとして受けとめた。不明の至り。加速膨張を上位にあげていた須藤さんに脱帽である。

 「早い」というのは、宇宙・天文分野は前回の受賞からまだ5年しかたっていなかったからだ。ちなみに、その2006年に賞を贈られたのは、生まれたての宇宙の温度のゆらぎをとらえた米国のCOBE(コービー)衛星の観測だった。

 なじみのない方のために、物理学賞がカバーする領域には、どんな分野があるのかを素描しておこう。ざっくり大別すれば、物質の根源をたどる素粒子物理系の理論と実験、エレクトロニクスなどと密接にかかわる物性物理系、さらには広い意味で物性系に含めることもあるが、最近にわかに存在感を増しているものに量子系がある。これは、低温下で量子世界の不可思議な現象を探る、という研究である。

 こうしたなかで何年かに一度顔を出すのが、宇宙・天文だ。その頻度は、どのくらいか。 ・・・ログインして読む
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筆者

尾関章

尾関章(おぜき・あきら) 科学ジャーナリスト

1977年、朝日新聞社に入り、ヨーロッパ総局員、科学医療部長、論説副主幹などを務めた。2013年に退職、16年3月まで2年間、北海道大学客員教授。関心領域は基礎科学とその周辺。著書に『科学をいまどう語るか――啓蒙から批評へ』(岩波現代全書)、『量子論の宿題は解けるか』(講談社ブルーバックス)、共著に『量子の新時代』(朝日新書)。1週1冊のブログ「本読みby chance」を開設中。

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