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ケアとしての科学(中)原発事故とこれから

広井良典 京都大学こころの未来研究センター教授(公共政策・科学哲学)

 「科学」の中身の変容とも関連すると思われるが、しばらく前から科学論の分野で唱えられ、よく知られるようになった「モード論」と呼ばれる議論がある。モード論とは、イギリスの科学論(ないし科学技術政策)の研究者であるマイケル・ギボンズらが唱えているもので、その内容は、これまでの(近代)科学のあり方を「モード1・サイエンス」と呼び、これに対してこれからの時代において重要になってくる科学や知的探求の姿を「モード2・サイエンス」として対置するものである。

 その趣旨は概ね次のようなものだ。

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