メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

間違った放射線の怖がり方

久保田裕

 福島の原発事故を受けて、食物由来の被曝量を定める新基準案の策定が、年明けをめどに進められている。先月末、自然放射線などを除き、食物からの被曝量を生涯累積100ミリシーベルト以下とする、という答申が食品安全委員会から厚生労働省に出された。だが 、この100ミリシーベルトという量が、どのくらいなのかといわれると、どうにもこれが実感しにくい。

 健康影響がある放射線量は100ミリシーベルト以上、とされることが多い。だが、それ以下ならば何も影響がないのかとなると、そうもまた言い切れない。国際放射線防護委員会(ICRP)は、100ミリシーベルト以下では、放射線の影響は直線的に減っていくとみているが、直線的には下がらないという説や、逆に、低放射線量なら健康にいいのだ、とするホルミシス仮説などというものまである。

 そんなわかりにくさも手伝って、「放射能って危ないの? 国は大丈夫とかいっているけど本当は危ないんじゃないの?」などとよく聞かれる。放射能や放射線といっても、どのくらいの数値のことを言っているのかも分からないような、とてもアバウトな問い掛けの場合が多 いのだが、この問いに答えるのは、なかなか難しい。

・・・ログインして読む
(残り:約1219文字/本文:約1723文字)