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間違った放射線の怖がり方

久保田裕

 福島の原発事故を受けて、食物由来の被曝量を定める新基準案の策定が、年明けをめどに進められている。先月末、自然放射線などを除き、食物からの被曝量を生涯累積100ミリシーベルト以下とする、という答申が食品安全委員会から厚生労働省に出された。だが 、この100ミリシーベルトという量が、どのくらいなのかといわれると、どうにもこれが実感しにくい。

 健康影響がある放射線量は100ミリシーベルト以上、とされることが多い。だが、それ以下ならば何も影響がないのかとなると、そうもまた言い切れない。国際放射線防護委員会(ICRP)は、100ミリシーベルト以下では、放射線の影響は直線的に減っていくとみているが、直線的には下がらないという説や、逆に、低放射線量なら健康にいいのだ、とするホルミシス仮説などというものまである。

 そんなわかりにくさも手伝って、「放射能って危ないの? 国は大丈夫とかいっているけど本当は危ないんじゃないの?」などとよく聞かれる。放射能や放射線といっても、どのくらいの数値のことを言っているのかも分からないような、とてもアバウトな問い掛けの場合が多 いのだが、この問いに答えるのは、なかなか難しい。

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筆者

久保田裕

久保田裕(くぼた・ひろし) 

【退任】1983年、朝日新聞入社。「メディカル朝日」次長、「朝日パソコン」次長、「ドアーズ」編集長、「朝日ジュニア百科年鑑」編集長などを経て、09年から2014年5月まで科学医療部・DO科学編集長。物理や宇宙などハードサイエンスを主に取材。趣味で、人はなぜ正統科学よりも疑似科学のほうに引かれていくのかを調査研究。その方面の著書も多数。

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