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「科学技術」の科学を忘れてはいないか

山極寿一 京都大学総長、ゴリラ研究者

 「2位じゃだめなんでしょうか?」という言葉は日本の流行語になったらしい。一昨年の事業仕分けで、スーパーコンピュータの事業を見直す際にある仕分け人が発した質問だ。科学というものを本当に理解しているのか、という反論が相次いで、結局スパコンへの予算は打ち切られることを免れた。そして今年、理化学研究所と富士通が開発したスパコン京は世界一の座を獲得した。拍手を送りたい。

 最先端の科学技術をめざす者にとって、2位でいいというのは初めからその意欲をそぐようなものだ。結果として2位になることはあり得ても、それを最初から目標にするなんてとんでもない。私も同意見である。ただ、いま日本が世界一をめざすのは技術であって、科学として誇れるものだろうかという疑問は残る。

 そもそも科学と技術は別のものだ。科学とは世界の解釈の方法であると私は思う。 ・・・ログインして読む
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筆者

山極寿一

山極寿一(やまぎわ・じゅいち) 京都大学総長、ゴリラ研究者

京都大学総長。アフリカの各地でゴリラの野外研究に従事し、その行動や生態から人類に特有な社会特徴の由来を探り、霊長類学者の目で社会事件などについても発言してきた。著書に『家族進化論』(東京大学出版会)、『暴力はどこからきたか』(NHKブック ス)、『ゴリラは語る』(講談社)、『野生のゴリラに再会する』(くもん出版)など。

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