2011年11月14日
KEKのホームページで公表されている左のグラフ1は、縦軸が1目盛りごとに十倍になる対数目盛りだ。一番上の横軸は1立方センチ当たり1×10のマイナス4乗ベクレルの濃度で、一番下が10のマイナス10乗ベクレル。ベクレルは、放射性物質の数を表す単位と考えればいい。放射性物質の総量(黒い線)は、10のマイナス4乗のレベルからマイナス9乗以下のレベルまで、10万分の1になったことがわかる。
半減期が6.4時間のテクネチウム99m、3.2日のテルル132、33日のテルル129mは早めに姿を消し、半減期8日ながら大量に出たヨウ素131は5月末に見えなくなった。残っているのはセシウムだ。
もう一つ、このグラフを見て気づくのは、全体として下がってきているものの、その過程では激しく増減を繰り返しているということだ。
各地のその後の観測値を細かく見ると、地点ごとの大気中の放射性物質の量は急に100倍程度大きくなることがある。茨城大や東京大などの研究チームによると、これは空気の乾燥度と風向きが影響しているという。土ぼこりが舞い上がると、そこに吸着している放射性セシウムも一緒に舞い上がり、風に乗って流れてくる。これが再浮遊だ。セシウムは日本の土壌には吸着しやすく、いったんくっつくとなかなか離れない。だから、地下水にはほとんど出てこない。その代わり、土壌が動けば一緒に移動する。樹木についている放射性物質も、風や雨で居場所を変える。
こうした気象現象による放射線量の変化を予測するのは、難しい。気象予報そのものが、大量の観測データをもとに高性能スパコンを駆使してもなお、必ずしも当たらないことを見ても、その難しさは十分に想像できる。
筑波大学大学院の羽田野祐子准教授のグループは、
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