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除染には戦略と合意形成プロセスが必要だ

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

福島の当面の課題は、除染をどのように進めるか、だろう。政府は11日、被曝(ひばく)線量が年1ミリシーベルト以上の地域を国の責任で除染するという基本方針を閣議決定した。放射能汚染に対処する特別措置法に基づくもので、法は来年1月に施行され、基本方針に従って除染作業が進められることになる。

 だが、除染といっても、放射性物質からの放射線を人為的に出ないようにすることはできない。人間ができるのは、放射性物質を移動させることだけだ。場所によっては、移動すらきわめて困難だし、移動させるなら当然のことながら移動先の場所の確保が必要になる。どこから、どの程度、どこへ移動させるのか。具体的で、実行可能な全体計画を立てる必要がある。いくら国の責任で除染するといっても、財源には限りがある。その点を包み隠さず情報開示したうえで、地元住民を巻き込んで除染戦略の合意形成をしていくのは、相当な難事業だろう。だが、そのプロセスなしには福島の未来は見えてこない。

 チェルノブイリ事故では、

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