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「ジンクピリチオン効果」という言葉があるそうだ。どこかで聞いたことがある方もいると思うが、花王のメリットシャンプーが30年もベストセラーを続けた理由は、「ジンクピリチオン配合」という言葉だという説がある。作家の清水義範氏が最初に言い出したようだ。

 それを聴いた人々のほとんど100%、ジンクピリチオンがどのような化合物で、どんな作用があるかを知っているとは思えないが、「これは良さそうだ。買ってみよう」と思わせてしまうというのだ。言葉の音感が脳に衝撃を与え、買い物客をスーパーに走らせるという。こんなとき、ジンクピリチオンに関する知識を持っていても役に立たない。

 他にもセラチオペプターゼ配合、あらびきネルドリップ方式、ドライだけのドライではない、などが同じような効果がある。不思議なことであるが、これらの言葉は「これは新しい、凄そうだ」と思わせてしまう力をもつのだ。

 このような衝撃力を持った言葉は、研究者の科研費の申請書にも有効という人もいると聞くと

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筆者

寺岡伸章

寺岡伸章(てらおか・のぶあき) 寺岡伸章(日本原子力研究開発機構核物質管理科学技術推進部技術主席)

【退任】日本原子力研究開発機構核物質管理科学技術推進部技術主席。熊本県生まれ。東工大修士課程修了。旧科学技術庁・基礎研究推進企画官、タイ国家科学技術開発庁長官顧問、国立極地研究所事業部長などを経たあと、06年6月~10年9月まで理化学研究所中国事務所準備室長(北京)を務めた。中国の科学技術事情に詳しい。小説、エッセーの執筆も。※2012年3月末退任

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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