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低線量被曝をめぐる議論で見えた日本特有の文化的タブー

下條信輔 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授

そもそも疫学研究は、統計学的手法に頼る。今仮に、ガンなどの発病率が、被曝した住民群で被曝しない対照群より高かったとする。だがそれだけでは、被曝が原因とは言えない。そこで、得られた差が偶然によるばらつきだけで起きる確率を計算する。それが一定の危険率(たとえば1%)よりも小さいなら、「1%以下の偶然が起きただけ」という解釈は採りにくい。むしろ「被曝の悪影響が実際にあった」という結論が支持される。これが統計学的検定の論理だ。

 重要なポイントとして、この検定の論理は一方通行だ 。有意水準(=危険率)に達すれば、影響があると結論される。が半面、達しなければ「どちらとも結論できない」というのが、「科学的な結論」だ。

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筆者

下條信輔

下條信輔(しもじょう・しんすけ) 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授

カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授。認知神経科学者として日米をまたにかけて活躍する。1978年東大文学部心理学科卒、マサチューセッツ工科大学でPh.D.取得。東大教養学部助教授などを経て98年から現職。著書に『サブリミナル・インパクト』(ちくま新書)『〈意識〉とは何だろうか』(講談社現代新書)など。

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