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NHK「あさイチ」騒動に見る放射能測定の難しさ

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

 NHKの朝の番組「あさイチ」で紹介した食品の放射能測定の結果に誤りがあったと、11月24日に番組内で謝罪があった。なぜミスが起きたのかの検証が15日に放映される。現段階で公表されているNHKの見解は「分析装置の不備」。放射能測定は簡単にできるものではないと専門家は指摘してきたが、NHKが専門家に測定を依頼してもミスが起きたことで、その「難しさ」が天下にさらされる形になった。

 10月17日に放映された「放射線大丈夫?日本列島・食卓まるごと調査」は画期的な企画だった。福島2、東京2、それに北海道、大阪、広島の合計7家族に、毎食一人分余計に作ってもらい、一日分まとめてミキサーにかけて分析サンプルをつくる。それを1週間分、首都大学東京の研究室で放射能測定するという調査だ。セシウム134とセシウム137の測定結果が番組で明らかにされ、ほとんどの食事で「ゼロ」、検出されたものもごくわずか、という結果が印象的だった。とくに福島で地元の食材を食べているご家族の結果が「すべてゼロ」と出た一方、札幌や岸和田など遠いところで一部検出という結果に意外性があった。

 ところが、謝罪のあとNHKがWEBに公表した再検証後の数値によると、検出されていた4サンプルは実は検出限界以下で、番組での表現を使えば「ゼロ」だった。7家族の1週間の食事は、セシウム134はすべてのサンプルで検出限界以下、セシウム137が東京の1サンプルでわずかに検出されただけ、というのが訂正後の結果だ。福島だろうと遠いところだろうと、差はなかった。

 NHKは、

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