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囲い込まれた「学術情報」を開放せよ

内村直之 科学ジャーナリスト

 「知らなかった」。この言葉がわたしたちのくらしを破壊することがよくわかった。専門家が知るべき専門的知識を持っていないのは致命的であり、それなら「専門家」という看板を下ろすのが倫理的であるだろう。一方、一般人(専門を離れた専門家もそうであるが)も、知らなければ、いろいろなことを失う。「どっちを信じていいのかわからない」ではなく、どちらがより信頼できるのかを「判断できる知識」を持つべきなのである。わたしたち、記者もその原則から外れることはない。われわれの仕事はとことん知るべく取材することであった。いずれにしろ中途半端な知識で満足できる世界ではなくなった。そこで、専門家、一般人や記者などだれもが専門的知識を得る「基盤」について考えたい。それは「知るべきことを知る」という科学リテラシーの基本に関わることだ。
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