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「第2の地球」からメリークリスマス

尾関章 科学ジャーナリスト

 今年の科学界で「いい意味でも悪い意味でも影響を与えた人」10人を、22日付の英科学誌ネイチャーが選び、それぞれの横顔を描いてみせた。日本からは、東京電力福島第一原発事故後、政府のデータ公表や周辺地域対策のありようを厳しく批判した東京大学の児玉龍彦教授も登場しているが、それは紙面でも伝えられたので、ここでは別の人のことを書こう。こんな辛い年でも、少しだけクリスマス気分にさせてくれる話題だ。

 「惑星探索人」の見出しで紹介されたマサチューセッツ工科大学(MIT)の天文学者セーラ・シーガーさん。米航空宇宙局(NASA)が、太陽系外の惑星を探すために2009年に打ち上げたケプラー衛星の科学者チームに属している。

 ネイチャーの記事は、数百年後の未来人が今の時代をどうみるかを彼女が占った一言から書き出されている。それを引用してみよう。「彼らは、私たちのことを、いくつもの地球に似た世界を初めて見つけた世代として記憶にとどめているでしょうね」

 思えば2011年は、科学史上、系外惑星探しが大きく進み、宇宙には地球のほかにも地球のような惑星があると確信した年、ということになるだろう。

 私自身の科学記者生活を振り返っても、その実感はある。取材の第一線にいた1980年代から90年代前半にかけては、太陽系外の惑星と言うと、眉につばをつけて取材したことを思い出す。様相が変わったのは、1995年だった。スイスのジュネーブ天文台グループが、ペガスス座の51番星の周りに、約4日の公転周期で回る天体を見つけた。これが、系外惑星の確実な発見第1号といわれる。 ・・・ログインして読む
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筆者

尾関章

尾関章(おぜき・あきら) 科学ジャーナリスト

1977年、朝日新聞社に入り、ヨーロッパ総局員、科学医療部長、論説副主幹などを務めた。2013年に退職、16年3月まで2年間、北海道大学客員教授。関心領域は基礎科学とその周辺。著書に『科学をいまどう語るか――啓蒙から批評へ』(岩波現代全書)、『量子論の宿題は解けるか』(講談社ブルーバックス)、共著に『量子の新時代』(朝日新書)。1週1冊のブログ「本読みby chance」を開設中。

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