2012年01月06日
学生の頃、私は、南部陽一郎(本稿では物理学者の敬称を略す)の書いた「クォーク―素粒子物理の最前線」(1981年 講談社ブルーバックス)という本を、胸を熱くさせながら読んだ。当時の物理学の花形は「素粒子論」であり、それを背景にした「宇宙論」だった。自分の存在しているこの世界がどのような理論で成り立っているのかが解明される日も近いのではないか、そんな興奮が体じゅうを巡ったものだ。「その時」が来たとき、たとえ自分が貢献していなくとも、その感動を実感できる立場にはいたいと願った。そして、紆余曲折しながらも、大学院で宇宙物理学の研究室に進学した。
ここでは、ヒッグス粒子の意義を味わうために、20世紀の物理学革命の中から生まれた素粒子物理学を振り返ってみたい。
現代物理学は
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