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ゴール到達寸前に来た素粒子物理学―ヒッグス粒子までの道

伊藤智義 千葉大学大学院工学研究院教授

科学ニュースを振り返ってみると、ヒッグス粒子の存在が示唆された意義は大きいと感じる。20世紀に構築された素粒子物理学の「標準理論」が完成する日も近いようである。
拡大ブルーバックスの名著といわれる「クォーク」

 学生の頃、私は、南部陽一郎(本稿では物理学者の敬称を略す)の書いた「クォーク―素粒子物理の最前線」(1981年 講談社ブルーバックス)という本を、胸を熱くさせながら読んだ。当時の物理学の花形は「素粒子論」であり、それを背景にした「宇宙論」だった。自分の存在しているこの世界がどのような理論で成り立っているのかが解明される日も近いのではないか、そんな興奮が体じゅうを巡ったものだ。「その時」が来たとき、たとえ自分が貢献していなくとも、その感動を実感できる立場にはいたいと願った。そして、紆余曲折しながらも、大学院で宇宙物理学の研究室に進学した。

 ここでは、ヒッグス粒子の意義を味わうために、20世紀の物理学革命の中から生まれた素粒子物理学を振り返ってみたい。

 

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筆者

伊藤智義

伊藤智義(いとう・ともよし) 千葉大学大学院工学研究院教授

1962年生。東京大学教養学部基礎科学科第一卒、同大学院博士課程中退。大学院生時代に天文学専用スーパーコンピューター「GRAPE」の開発にかかわり、完成の原動力となる。現在は「究極の3次元テレビ」をめざし研究中。著書に、集英社ヤングジャンプ「栄光なき天才たち」(原作)、秋田書店少年チャンピオン「永遠の一手」(原作)、集英社新書「スーパーコンピューターを20万円で創る」など

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