メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

畑村委員会・中間報告で見えた「大事故を免れた可能性」

高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター

これだけの大事故である。たくさんの失敗が積み重なったことは想像に難くない。それにしても、政府の「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」(畑村洋太郎委員長)が26日に発表した中間報告を読むと、失敗の多さにため息が出る。そのいくつかがなければ、ここまで被害が拡大することはなかったのではないか。

 もとより、津波に対する備えが不十分であったことは、事故発生当初から指摘されている。では、電源がすべて失われてからの対応はどうだったのか。原発内部の動きは、外からなかなかわからなかった。6月7日に発足した委員会は、関係者456人(12月16日現在)のヒアリングをし、現地視察も重ねて、事実関係を丹念にまとめた。

 1号機では、非常用復水器がうまく働いていないことに気づくのが遅れた。中間報告は、現場だけでなく本店幹部も含めてこの重要機器に対する理解が不足していたと指摘。「原子力事業者として極めて不適切」と断罪した。3号機でも、高圧注水系の手動停止から始まる一連の対応の不手際が、消防車を使っての注水を遅らせたと判断した。ただし、爆発を防げた可能性については「概要」の中で「現時点で評価することは困難」と判断を留保している。

 東京大学大学院教授で、「続失敗百選-リコールと事故を防ぐ60ポイント」(森北出版)を著した中尾政之さんは

・・・ログインして読む
(残り:約1519文字/本文:約2086文字)