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「日本人は独創的でない」に根拠なし

湯之上隆

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

筆者には、ちょっと意地の悪い趣味がある。時々、ブックオフなどの古本屋に行って、「10年後の日本はこうなる」というような、未来を予測した内容の古本を、クルマのトランクいっぱいに購入してくるのである(1冊105円の古本なら無造作に50冊くらい買ってしまう)。そして、片っ端から読みまくり、未来予測はまったく当たらないことを確認し、一人悦に入っているのである。

 ところが、稀に、「おおっ!」と驚くような古本に出会うことがある。例えば4年前、ジョエル・パーカー著『パラダイムの魔力―成功を約束する創造的未来の発見法』(日経BP出版センター、1995年)に巡り合った時は、あまりの面白さと含蓄の深さに小躍りした。筆者は、2004年に、クリステンセン著『イノベーションのジレンマ』(翔泳社)を読んで、社会科学者への道を志したが、『パラダイムの魔力』には、それ以上の衝撃を受けた。ユーモアたっぷりの記述も大変魅力的で、この本は、今も筆者の座右の書となっている。

 さて昨年は、後藤尚久著『アイデアはいかに生まれるか』(講談社、1992年)が最も印象に残った。本書で後藤は、「いかにして独創的なアイデアを生み出すかを論じている。これには、大いに共感し学ぶべき点が多かった。しかし、筆者の注目した点は、

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筆者

湯之上隆

湯之上隆(ゆのがみ・たかし) コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

1987年京大修士卒、工学博士。日立などで半導体技術者を16年経験した後、同志社大学で半導体産業の社会科学研究に取り組む。現在は微細加工研究所の所長としてコンサルタント、講演、各種雑誌への寄稿を続ける。著書に『日本半導体敗戦』(光文社)、『電機・半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北-零戦・半導体・テレビ-』(文書新書)。趣味はSCUBA Diving(インストラクター)とヨガ。 【2016年8月WEBRONZA退任】

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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