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「秋入学」は大学教育のTPPだ

佐藤匠徳 生命科学者、ERATO佐藤ライブ予測制御プロジェクト研究総括

現在の日本の大学は、いくら好意的にみても、諸外国の一流大学と比べると格下である。これは、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション国際大学ランキング2011-2012で日本トップの東大が30位、これとは別のQS社の総合ランキング2011/2012においても東大は25位であるという点からしても否定できない事実である。

 このような現状では、諸外国のエリート学生は、日本の大学が秋入学制度を取り入れたところで、日本の大学・大学院へは進学・編入しない。また、秋入学で制度的に便利になった分、ますます多くの優秀な日本人学生は、海外の大学・大学院へ進学・編入するであろう。

 つまり、秋入学の導入は、日本の大学を国際自由競争の渦中に放り込むことになる。貿易でいうTPP(環太平洋経済連携協定)に加わるようなものだ。果たして、日本の大学には、諸外国の一流大学と競争できる下地はできているのだろうか? 筆者の答えは「ノー」である。

大学院2年生の時に参加したコールドスプリングハーバー研究所の神経科学夏の学校。エリック・カンデル博士(2000年ノーベル生理医学賞)が毎年夏に開いた。最後列右から2人目が筆者。

 では、

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