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 動物に記録計(データロガー)を取り付けて、海の中や空の上など、人が簡単に観察できない場所での行動を探る――。こうした研究手法は「バイオロギング」と名付けられ、日本が得意とする分野のひとつだ。ここ10年ほどは記録計の高性能化が進んで、より多くのデータが得られるようになり、新知見も積み重なりだした。動物の生態や生息環境を解き明かすため、今日も動物たち自身がデータ集めに活躍している。

 動物の行動を調べるため、かつてはひたすらその姿を追い続けるのが基本だった。例えば日本のサル学の黎明期に故伊谷純一郎さんが書いた名著「高崎山のサル」(1954年刊行)では、双眼鏡、野帳、鉛筆という三つの道具(後に、やぶ払い用の鎌が加って四つ)を使い、「終日、道もない急勾配の森林やブッシュの中を、サルの群れを追って歩くこと」により、データを集める伊谷さんをはじめとする当時の研究者の姿が描かれている。機器の進歩に伴って観察の現場にはテープレコーダーやカメラ、ビデオなどが持ち込まれていったが、人による追跡には限界があり、水の奥深くや高い空の上は、研究者が直接観察のできない場所として残された。

拡大記録計を背負ったアカウミガメ(C)Tomoko Narazaki

 そこで動物に記録計を装着し、24時間の行動データを得ようという発想が生まれた。動物自身が記録を持ち帰ってくれるなら、研究者の悩みは解決する。東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター准教授の佐藤克文さんによると、初めての試みは1965年、米国の研究者が南極のウェッデルアザラシにキッチンタイマーを改造した記録計を装着し、水深300mまで潜ることを突き止めた研究だ。その後、記録計の開発は日米欧で競われ、80年代までは小さなロール紙へ細い線で記録を書き込むようなアナログ式が使われた。90年代からはデジタル式の時代となり、装置の小型化や記録期間の長期化が進んだ。今では温度や深度、速度、加速度、地磁気、音、画像など多種類の情報を集めることが可能になっている。最新の研究成果 ・・・ログインして読む
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筆者

米山正寛

米山正寛(よねやま・まさひろ) 朝日新聞記者(科学医療部)

朝日新聞科学医療部記者。「科学朝日」や「サイアス」の編集部員、公益財団法人森林文化協会事務局長補佐兼「グリーン・パワー」編集長などを務め、2018年4月から再び朝日新聞の科学記者に。ナチュラリストを夢見ながら、とくに自然史科学と農林水産技術に関心を寄せて取材活動を続けている。

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