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 「ものごとは10%変化させるより、10倍変化させる方が、実は簡単だし、本質的な解決につながる」。これは、2月1日から3日間、サンフランシスコ郊外のゴルフリゾートCorde Valle Rosewood Resortを舞台に、開催されたSolve for 〈x〉というGoogle主催のワークショップでの合言葉の一つだった。
写真1:Eric Schmidtのオープニング拡大写真1:Eric Schmidtのオープニング。スクリーンには、solve for <x>の意味が示されている。HUGE PROBLEM、RADICAL SOLUTION, BREAKTHROUGH TECHNOLOGYの交点が<X>である。(撮影:北野宏明)

 このワークショップは、Googleの中にある(らしい)Google〈x〉というチームが企画して開かれたもので、大きな問題を、革新的な技術で、ラジアルな方法で解決すること(彼らの言う〈x〉)を議論しようというものである。

 GoogleのCEOであるEric Schmidt(写真1)と、創立者のSergei Brin(写真2)のオープニングトークに始まって、3日間で20件ほどのプレゼンテーション(各12分)があり、参加者がプレゼンテーションをもとに、本質的なブレークスルーをもたらす方法を考えるというワークショップである。

 会議のキーワードは、“Moonshot(ムーンショット)”。その言葉の表すままに月に行くような大きなアイデア、一見不可能に思えるようなアイデアを現実にすることなどの意味がある。

写真2:google創業者の一人Sergei Brinのオープニング(撮影:北野宏明)拡大写真2:google創業者の一人Sergei Brinのオープニング(撮影:北野宏明)

 議論されたことは、新しい浸透膜の原理による水問題解決への貢献、都市鉱山からの貴金属を遺伝子改変のバクテリアで回収する技術、スプレーして塗布するだけでアンテナ感度を数倍にするナノ素材の開発、地球温暖化を解決する方法、遺伝子改変作物と農業生産性、医療問題、教育問題など、いろいろであった。非常に大きなインパクトを与えそうなものから、突っ込みどころがあるものまでさまざまである。

 ただ、ここに集まった人々は、これらの大きなアイデアを、ものになるかどうかは別として、自分の会社を興して解決しようとしている。大きな課題を扱った話でも、政府などに働きかけることは考えずに、自分の会社で問題を解決してそれをビジネスにするという話である。

 日本でこの手の議論をすると、

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筆者

北野宏明

北野宏明(きたの・ひろあき) ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長

ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼所長。1984年国際基督教大学教養学部理学科卒業後、日本電気に入社。88年米カーネギー・メロン大学客員研究員。91年、京都大学で博士号(工学)を取得。1993年ソニーコンピュータサイエンス研究所入社、犬型ロボットAIBOなどの開発にかかわった。2008年に現職。NPO法人システム・バイオロジー研究機構会長を兼務。Computers and Thought Award (1993)、ネイチャーメンター賞中堅キャリア賞(2009)などを受賞している。

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