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子供用たまごっち型線量計開発を加速、早期発売を目指す

湯之上隆 コンサルタント(技術経営)、元半導体技術者

震災から1年が経過した。半導体技術者の私は、原発事故をきっかけとして、25年前の大学時代に原子炉で実験していたことを思い出し、2011年10月5日、子供用線量計を開発、製造、販売する会社エアジャッジを、4人の仲間と共に設立した(WEB RONZA2011年10月13日)。

 現在、エアジャッジは、三つの事業を推進中である;(1)子供用の線量計、(2)汚染水が一切飛散しない除染装置、(3)家屋に放射性物質を侵入させない空気清浄機。本稿では、これら三つの事業の経過報告をする。

(1)子供用線量計

 2月4日、長岡技術科学大学(新潟県長岡市)で開催された国際学会「技学カンファレンス」にて、招待講演「Development of pocket dosimeter for children」を行った。このとき使ったのが、右の図である。

 信頼性が無い中国製は論外として、精度と信頼性の高い堀場製作所のシンチレータ、価格破壊を起こしたエステーの線量計でも、被災地仕様として大きな問題がある。測定時間に数分かかることだ。

 私たちは、南相馬市を何度も訪問しているが、10μSv/時を超えるホットスポットがそこら中にある。被災地の子供たちを被ばくさせないためには、ホットスポットを瞬時に見分けて警告する線量計が必要だ。

 私たちは、化合物半導体CdTe(テルル化カドミウム)を使うことにより、「1秒以下でホットスポットを見つけることができる」確証を得た。

 しかし、線量計の製造には、大きな壁が立ち塞がった。

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