【退任】朝日新聞記者(オピニオン編集部)。1979年朝日新聞入社、科学部、科学朝日編集部、アエラ発行室、アメリカ総局員などを経て2004年9月から13年まで論説委員を務めた。1989~90年、マサチューセッツ工科大ナイト科学ジャーナリズムフェロー。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
東京を含む首都圏のどこかで、マグニチュード7クラスの直下型地震が起きる。震度7という強い揺れを生じる恐れもある。そんなシナリオが今、現実味を帯びている。もともと、このクラスの地震はいつ起きても不思議はない状況ではあったのだが、東日本大震災を契機に日本列島全体で地震活動が活発化している現在、さらに警戒を要する状態になっていると考えた方がいい。もっとも、警戒が必要なのは、首都圏に限らない。むしろ、日本のどこで、次の大きな地震が起きても全く不思議はない。地震が起きたときの被害を最小限にできるよう、そして、地震発生後のすばやい復旧をはかれるよう、それぞれの立場で必要な対策をとっておく必要がある。
どこで起きるにせよ、災害はおそらく、予想もしなかった形で襲ってくるだろう。そのことを改めて見せつけたのが、東日本大震災だった。災害は、起きる場所、そして、起きる季節や時間帯によって、様相を大きく変える。東日本大震災が、阪神大震災のように、多くの人がまだ眠りについている明け方に起きたらどうだったか。また、逆に、阪神大震災が、東日本大震災のように、新幹線が走り、多くの人が活動している金曜日の午後に起きたらどうだったか。住宅の倒壊で圧死する人は大きく減っただろうが、交通機関や多くの人が集まる場所などで、別の形の被害が増えた恐れもある。
さまざまな時間と場所でいったいどんなことが起きるのか、何が必要か、想像をめぐらせることが大切だ。
そのうえで、首都圏の地震にどう備えるのか。
東大地震研究所と京大防災研究所、防災科学技術研究所が参加した文部科学省の「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」が今月初め、最終報告会を開いた。その中で、社会への影響については、