広井良典
2012年03月22日
議論の手がかりとして、人間にとっての「情報」の意味について、かつてカール・セーガンが提起した次のような視点が参考になる(カール・セーガン『エデンの恐竜』秀潤社、1978年)。すなわち、情報は大きく「遺伝情報」と「脳情報」に区分することができる。前者はいわゆるDNAに組み込まれた情報であり、これは、ほかでもなく遺伝子(という情報メディア)を通じて親から子へとバトンタッチされていく。その中身は、身体の生物学的組成に関する情報がまず重要だが、一定の行動パターンに関する情報も含まれている(たとえば、ネコが毛づくろいをするのは親に教えられるものではなく遺伝情報の中にその行動パターンが組み込まれている)。
しかしながら、生物が複雑になっていくと、この遺伝情報だけでは不十分になってくる。
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