2012年03月29日
本プログラム執行機関である独立行政法人・日本学術振興会のホームページによると、「『博士課程教育リーディングプログラム』は、優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、国内外の第一級の教員・学生を結集し、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した世界に通用する質の保証された学位プログラムを構築・展開する大学院教育の抜本的改革を支援し、最高学府に相応しい大学院の形成を推進する事業である」とある。
つまり、今までの「博士課程の学生は、ひとつの研究室に閉じこもり、一般人からみると訳のわからない、社会の役に立つかどうかわからない研究を、教授の手足となり、研究室に寝泊りしながら日々黙々とおこなっている」という状況から脱却し、「人類の直面しているグローバルな問題を解決する高度な能力を兼ね備え、産官学で即戦力となる人材」の養成を目指すということである。
応募要項には「広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーに求められる能力」として、1)確固たる価値観に基づき、他者と協働しながら、勇気を持ってグローバルに行動する、2)自ら課題を発見し、仮説を構築し、持てる知識を駆使し独創的に課題に挑む力、3)高い専門性や国際性はもとより幅広い知識をもとに物事を俯瞰し本質を見抜く力、が挙げられており、このような人材育成のため、平成23年度には、13大学で計21件のプログラムが採択され、毎年約60億円が平成24年度から7年間使われることになる。また、平成24年度、25年度も、同様のプログラムが公募・採択される予定であるため、平成25年度には計180億円がこの事業に投入されることになる。
これらは、日本の10年~50年先をみこした、国民の税金による将来への巨額な投資であるはずである。したがって、この投資が本当に意義のあることであるか否かを深く議論した上で国の行政機関が決定されたものであるべきである。しかし、残念ながら、そうではないとしか思えない。筆者がそう考える理由を四つ以下に述べる。
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