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ロケット打ち上げと国際法

山崎直子

山崎直子 宇宙飛行士

世界初の人工衛星スプートニク1号は1957年10月4日に打ち上げられました。重さ約85kg。それ以来、世界で打ち上げた人工衛星の累計は2006年末時点で5736個。ロシアと米国でその88%を占め、日本は119個保有し世界3位となっています。

 さて、北朝鮮において、「初の実用衛星『光明星3号』の打ち上げが4月13日午前7時38分55秒、平安北道鉄山郡(ピョンアンブクド・チョルサングン)西海(ソヘ)衛星発射場で行われ」「軌道進入は成功しなかった」「失敗の原因を究明している」と、朝鮮中央通信が報じました。「光明星3号」は重さ約100kg、太陽同期軌道から気象の研究などを行う予定と海外メディアに対して発表されていました。その打ち上げロケットである「銀河3号ロケット」は3段式で、直径2.5メートル、高さ約30メートル。北朝鮮は、1998年8月および2009年4月に、それぞれ光明星1、2号を打ち上げましたが、これらも軌道進入に失敗していたことが知られています。

 ちなみに、過去30年余りの各国のロケット打ち上げ成功率は下記のとおりです。

拡大<出典>宇宙航空研究開発機構機関誌JAXA’s 014号。1980 年1月1日〜2007年4月30日までの打上げ実績による。ロシアは旧ソ連、ウクライナを含む。上記分類をまたぐ多国籍企業による打ち上げは除く。

 特に初期の段階では、どの国も失敗を経験し、そこから技術を蓄積していっています。いわゆる「不具合出し」をひと通り経て、その後に安定した打ち上げ成功率を維持できるか、国際的に通用する成功率90%を超えることができるかが、が鍵になってきます。逆に成功率90%を達成出来るということは、その国の技術力を示す指標にもなります。

 では、国際社会の中で、ロケットの打ち上げの取り決めはどうなっているのでしょうか。今回の北朝鮮の打ち上げに対し、国連事務総長は即座に「2009年に国連安全保障理事会で採択された北朝鮮に関する決議UNSCR1874への明確な違反である」と遺憾の意を述べました。UNSCR1874は、2009年5月に行われた北朝鮮の核実験に対する制裁措置として安全保障理事会が全会一致で採択したものです。この中に「北朝鮮がこれ以上の核実験や弾道ミサイル技術を使用した発射を実施しないよう要求する」という項目が入っています。そして、4月16日に国連安全保障理事会は、打ち上げを「強く非難」し、再発射や核実験に踏み切れば「安保理として相応の行動を取る」と警告する議長声明を全会一致で採択しました。北朝鮮のロケットがたとえ人工衛星打ち上げを目的としたものであったとしても、過去の安保理決議の中にある「弾道ミサイル技術を使用した」ものとみなしたわけです。

 一方、国際的に定められている宇宙法としては、 ・・・ログインして読む
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筆者

山崎直子

山崎直子(やまざき・なおこ) 宇宙飛行士

宇宙飛行士、立命館大学客員教授、女子美術大学客員教授。東大工学部航空学科修士課程修了、1996年に宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)に入り、2001年に宇宙飛行士に認定。10年にスペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗、国際宇宙ステーション組み立てに参加した。2011年8月に宇宙航空研究開発機構を退職。著書に「夢をつなぐ」(角川書店)など。

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