2012年05月03日
生物教育関係者なら、文部科学省が学校教育で教えるべき内容を定める「学習指導要領」はすでに告示されていたので、大まかな内容は一昨年の桜の季節にはわかっていたのだが、しかし実際に教科書を見るまでどんな感じに変わるのか、どんな教え方に変わるのか、その詳しい変化の様相までを知悉していたわけではなかった。
生物と言えば必ず登場したメンデルも、新しい教科書ではその扱いは大きく変わり、出番はがっくりと減る。ただ、メンデルの残した業績は重要なものであることに変わりなく、教科書からその記述が無くなるわけではない。
なぜ高校の教科書からメンデルの記述が減るのかといえば、メンデルの遺伝の法則と言えば「優性の法則」「分離の法則」「独立の法則」だが、分離の法則はすでに中学校理科第二分野で学習するし、優性の法則は現在では「法則」として扱うのは適切ではないしと、高校で敢えてメンデルを全面に出す意義が薄れてきているということもあるが、DNAに関する知見が爆発的に蓄積し、DNAから遺伝を説明した方が現実的だということも大きな理由である。
ただここで、一つ気になることがあった。件(くだん)の新聞記事に、「メンデル→DNA 主役交代」という文字が大きく躍っていたことだ。
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