湯之上隆
2012年05月24日
この閣議決定を聞いたときは呆れてものが言えなかった。これでは、ただでさえ就職難の若者たちを窮地に追いやるだけだ。現在しかるべきポストに着き、高給を得ている公務員をざっくり削減しなければ意味がない。
では、そのような既得権益にしがみついている現役の公務員をどうやって削減したらいいか? その方法を最近、自分の体験から思いついた。以下にその体験談と、公務員費2割削減の妙案を示そう。
3月に千葉県のとある零細企業(A社)からコンサルタントの依頼を受けた。資金力に余裕がないA社は、「公益財団法人 千葉県産業振興センター(以下、振興センター)」を利用するという提案をしてきた。そこに私が専門家登録をすれば、A社は振興センター経由で私のコンサルを受けることができる。コンサル費用のほとんどは振興センターが負担する。
「じゃあ、それで行きましょう」と返事をし、A社は振興センターに連絡をした。しばらくすると、振興センターから電子メールが届き、経歴書などの提出を求められた。その上で、千葉の幕張にある振興センターで面談すると通知された。
私は片道2時間かけて、幕張に面談に出向いた。そして、振興センターのコンサル・システムに大いに驚かされることになった!
担当者は開口一番、「既に650人の専門家がいるので、あなたにコンサルの仕事があるかどうかはわからない」と勿体をつけてきた。そのくせ、「コンサル費用は1日当たり47,250円+旅費実費」と相場よりも随分安い。また、「千葉の房総半島先端の館山などに行ってもらうことはできますか?」ということを聞かれた。私としては、A社のコンサルをして(助けて)やりたいだけなので、それ以外のコンサルはやりたくない旨を申し上げたが、担当者は憮然とした表情だった。
担当者にしてみると、「仕事をあなたに回すかどうかの決定権は自分にあるのに、この態度は一体何だ?」と思ったのかもしれない。しかし、この振興センターの財源の半分以上は国からの補助金、つまり税金であり、この担当者の態度こそ一体何だと私は思う。
その後、4月から1年のコンサル契約をしたら、「1年間で達成するべき目標を明記して頂きます」(止むを得ない)、「毎月レポートを出してもらいます」(仕方がない)、「来年度末に報告書を出してもらいます」(それも止むを得ない)と続き、「その報告書に基づいて審査し、当初の予定通りの実績が挙げられたことを確認した上で、報酬と旅費を支払います」と担当者は言った。
「えっ?何だって?」
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