2012年05月22日
シェアド・リアリティ(世界観の共有)が大切、とも書いた。が、舌足らずだったかも知れない。
シェアド・リアリティは普通、文化差や差別などを考えるとき、その前提となる共通の価値体系を指す。が、ここではものごと(原発や基地)のメリット/デメリットを、実感として共通理解しているか、という観点で使いたい。
実際、貯蔵施設を引き受ければ、核廃棄物のリスクを肌で感じとれる。また隣に米軍基地ができれば、騒音やストレスを実感的に評価できる。
一般に「たらい回し問題」がこじれるのは、地元側と受益者側の損得計算が噛み合っていないからだ。その損得表が共有されるということがすなわち、シェアド・リアリティが成立するということに他ならない。
実際にやってみれば、相手の気持ちがわかる。わかりやすい話だ。ただし「相手の身になってみれば」というのとは、似て非なる関係にある。後者は、実際にはやらないで想像してみるだけだ。それでは、真の仲間意識は持ちにくい。
またシェアド・リアリティは、損得表を「計算ずくで」共有するというのとも、少し違う。実体験に基づいて情動的に「共有する」ことを指す。世界観の共有と共感と仲間意識は、潜在意識のレベルで密接につながっている。
この意味のシェアド・リアリティがなければ、相手の立場を分析的に理解しても痛みを共有できない。体感的に共有できているかというのが大切なポイントで、だからこそ実体験が肝心なのだ。
実体験がシェアド・リアリティの共有を深める。その意味で端的な例だと思ったのは、どこで読みかじったか忘れたが、「戦争を確実になくす簡単な方法」という話だ。
戦争を起こした一国のリーダーは、
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