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2位になった「京」の本当の評価

伊藤智義

伊藤智義 千葉大学大学院工学研究院教授

2012年6月期のスパコンランキング「TOP500」が発表になった。米国IBMのSequoiaが1位になり、日本の「京」が2位に転落したと報じられた。転落というよりも、今も2位にランクインしていることは、称賛されるべきことである。

 ただし、「京」の真価が問われるのは、本格稼働が始まる9月からである。どんな成果を生み出すのか、そこで評価されなければならない。

 スパコンがどれくらい使われているかの指標として、歴代1位のスパコン名がタイトルに入った文献数を調べてみた。Google Scalarを使って検索した結果が表1である。複数の名前で呼ばれているコンピューターについては、検索語ごとのヒット件数をいくつか調べた。ただし、スパコンの名称以外でも使われている検索語(Paragon, Roadrunner, Jaguar)においては、関係のない文献数が多く含まれているため、参考程度に()付きで示した。

表1 歴代1位スパコンの論文件数 タイトル中にスパコン名が記されている文献数をGoogle Scalarで検索した結果表1 歴代1位スパコンの論文件数 タイトル中にスパコン名が記されている文献数をGoogle Scalarで検索した結果

 スパコンの使命はそれぞれなので、たとえ世界最高速のコンピューターといえども、成果が表に出にくいものもあるだろう。特に軍事用途ではあり得る話である。しかし、日本のスパコンは民生用、特に科学技術を促進する使命を持っている。しかも、多額の税金が投入されている。そういうことを考えると、例えば、「京による○○の数値解析」のように、コンピューター名がタイトルに入っている成果が多数出ることを願いたい。

 表1をご覧になっていかがだろうか。正直なところ、私は、

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